はじめに
公務員は、比較的安定している職業のため、離職率は低い傾向にあります。
- 国家公務員の離職率:7.7% (2022年)
参考:人事院「公務員白書(令和5年度)」 - 地方公務員の離職率:約5% (2022年)
参考:総務省「令和4年 地方公共団体定員管理調査結果」
参考:総務省「令和4年度 地方公務員の退職状況等調査」 - 民間企業の離職率:15.4% (2023年)
参考:厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概要」
ただし…!実際は、公務員でも特に若年層の離職率は高いのをご存じですか?
- 普通退職者のうち、30歳未満の離職率:39.5%
※普通退職者とは・・・定年退職や推奨退職などを除く退職者
参考:総務省「令和4年度 地方公務員の退職状況等調査」
この記事を読んでくださっている皆さまも、公務員からの転職を迷っている方が多いのではないかと思います。
元公務員の私も、転職を決めるときは、辞めて後悔したらどうしよう…と体験談を読みあさっていました。
そこで今回は、公務員から退職した経験をもとに、公務員から転職したら後悔するのか?について解説します。
この記事の内容が、以下のような疑問をお持ちの方のお役に立てれば幸いです。
- 公務員からの転職はしない方が良いって本当?
- 公務員からの転職で後悔することは?
- 公務員からの転職で後悔しないためには?
公務員からの転職は後悔しない
結論を先にお伝えすると、公務員からの転職は後悔しません。
といっても、それぞれ転職の理由や置かれている状況は異なるため、”少なくとも私は後悔していません”とお伝えしておきます。
このブログの筆者は、公務員(福祉職)から準公務員(司書)に転職した経験があります。
※公務員(専門職)からの転職については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
「どうして後悔していないのか」「どんな人が後悔してしまうのか」について、これから詳しく説明します。
公務員からの転職を後悔しなかった理由【経験談】
繰り返しになりますが、私は公務員から転職したことを全く後悔していません。
その理由は、主に4つです。
① やりたい仕事に就けた
元の職場にいたらできなかった、別職種のやりたい仕事に転職できたためです。
具体的には、元は福祉職の公務員(社会福祉士)でしたが、本に関わる仕事(司書)にもずっと興味がありました。
希望する仕事(福祉職の公務員)に就いて大きな悩み事はなかったのですが、今後のキャリアや働き方についてふと考えたときに、もうひとつの夢に挑戦したいと思ったのです。
このように転職の目的が明確で、そして転職しないと叶えられない目標がある場合は、転職しても後悔しないはずです。
② 元の仕事をやり切った
特に、職種を全く別のものに変える場合は、転職後は現在の仕事からは離れます。
そのため、今の仕事で心残りがないようにやり切って、満足した状態で次に進めるのがベストです。
また、当然のことですが、最後まで責任をもって丁寧に業務の引継ぎを行い、職場との関係も良好な状態で退職するのも、後悔しない転職を実現するポイントのひとつとなります。
③ 転職後の待遇がほとんど変わらなかった
私の場合、公務員から準公務員への転職ということもあり、転職後も給料や待遇面での大きな変化がありませんでした。
もし、転職後の給料が低い場合や不安定な場合は、不安になっていたかもしれません。
この部分は、転職の目的として自分がどのポイントを大事にしているかによって変わる部分かと思います。
ご家庭の都合や他にやりたいことがある場合など、給料よりも大切なポイントがあれば、迷わずそちらを優先してくださいね。
④ 転職先の人間関係が良かった
転職先も人間関係が良好な職場であったことも、転職を後悔しなかった理由としては大きいと感じています。
やりたい仕事に就けても、たとえば転職先が人間関係で大きなストレスを抱えるような職場であったら、後悔していたかもしれません。
ただ、お気づきの方も多いと思いますが、正直、人間関係に関しては運もあるのが難しいところです・・・。
そのため、人間関係については、転職先の状況によっては後悔する理由にもなり得るのです。
公務員からの転職を後悔しない方法については、後ほどご紹介します。
今すぐにその方法を知りたい方は、こちらからどうぞ!
公務員からの転職を後悔する理由
一方で、公務員からの転職を後悔する理由は、主に以下の3つです。
① 転職の目的が曖昧だった
たとえば、「とりあえず公務員から離れたい」「何となく別の仕事をしてみたい」などが理由で転職する場合です。
公務員として働いていると、経験を積めば積むほど任される仕事の負担も大きくなり、色々な悩み事や不満もたまってきますよね。
そんな中、自分の今後のキャリアを考えて、転職したら今よりも好転するのでは?と考えるのも当然のことです。
ただし、自分の悩み事・不満がどのポイントで、どんな点を変えたいと思っているのか?という転職の目的がはっきりしていないと、実際に転職した後に「思っていたのと違う…」と後悔する可能性があります。
② 転職のメリット・デメリットを理解していなかった
転職には、キャリアアップや年収アップなどのメリットがありますが、当然デメリットもあります。
転職前は、どうしても転職後の明るい未来を想像してメリットに注目しがちです。
しかし、同じようにデメリットもあることを忘れてしまうと、デメリットを感じたときに転職を後悔する原因になるのです。
公務員からの転職を考える時には、人それぞれ様々な理由がありますよね。
この中で、たとえば「人間関係のストレスから解放されたい」「残業時間を減らしたい」については、多くの場合、実際に働いてみないと実態が分かりません(実際に働いている知り合いから話が聞ける場合などはラッキーです!)。
そのため、極端にいうと、現状よりも悪くなるor変わらない可能性があるのです。
転職がうまくいくのが一番ですが、このように最悪のパターンも想定しておかないと、場合によっては後悔してしまうかもしれません。
また、新しい仕事にチャレンジする場合は、新たな知識や技術を身につける必要があるため、その大変さはあります。
実際、私は社会福祉士から司書に転職するにあたって、福祉の仕事をしながら司書の資格を取得しました。
好きなことの勉強は楽しく苦労は少なかったですが、それでも仕事をしながら勉強も並行するため、それなりに忙しいです。
③ 転職後の目標・ビジョンが明確になっていなかった
「別の仕事がしてみたい」「やりがいのある仕事をしたい」など、転職すること自体が目標になっている場合です。
転職は、改めて自分のキャリアの棚卸をしたりステップアップしたりと、もちろんそれ自体に意味のあることです。
一方で、転職が決まった時が新たなスタート地点でもあります。
そのため、転職後に「どんな経験を積んでいきたいのか?」「将来的にどんな仕事がしたいのか?」などの目標がない場合は、転職後に「なんで転職したんだろう?」「そのまま続けていた方が経験値が上がったのに」などの後悔につながる可能性があります。
公務員からの転職でよくある後悔
他にも、公務員が転職した後によくある後悔について、以下にまとめておきます。
転職を検討されるときは、この例を参考に、今から解説する後悔しない方法をぜひ参考にしてみてくださいね。
公務員からの転職で後悔しない方法
ここからは、公務員からの転職を後悔しないためにはどうしたら良いのか、その方法を解説します!
転職する場合としない場合のメリットとデメリットを書き出す
公務員からの転職を後悔する理由でもあげたように、転職にはメリット・デメリットがあります。
デメリットを把握しておくことで「転職後に思っていたのと違った…」という後悔を減らすことができます。
また、メリット・デメリットを洗い出すことで転職の目的が明確になります。
実際に書き出してみましょう
メリット・デメリットを書き出します。
スマートフォンのメモ機能でも、メモ用紙でも構いません。
以下のように、簡単な表にまとめてみるのも見やすくておすすめです。
ある程度(それぞれ2~5個程度でOK)書き出したら、メリットとデメリットを比較してみてください。
どの項目の数が多い・少ないということも参考になりますが、そのうち「自分が絶対にゆずれないこと」がどこにあるかということが重要だと考えます。
そして、おそらく転職する場合もしない場合も、少なからずメリット・デメリットどちらもあるのではないでしょうか?
その中で、転職する場合のデメリットに書き出した内容が、実際に起きても許容できるかどうかということも大切な判断材料です。
- 転職したら、今の仕事のメリットを手放しますが、後悔しませんか?
- 転職したら、転職する場合のデメリットが降りかかってくるかもしれませんが、後悔しませんか?
ここまで考えて、それでもやっぱり挑戦したいと思えるなら、今から動き出しても後悔しないはずです。
転職の目的を明確にする
公務員からの転職を後悔する理由であげたように、転職の目的が曖昧な場合は、転職後に後悔する可能性があります。
転職先には、自分の転職する理由(別の仕事がしたい・給料を上げたいなど)が解決できる職場を選ぶことが自然です。
しかし、目的が曖昧な場合は転職先に求めるポイントも定まらないため、改善したい部分が解決できない転職先を選んでしまうリスクがあります。
どうして転職したいのか?という転職の目的を明確にして、後悔しない転職先選びをすることが大切です。
また、先ほど転職のメリット・デメリットを書き出せた方は、すでに転職の目的も明確になっている方が多いかもしれません。
転職先の仕事内容、給料、残業などを徹底的に調査する
転職が成功するのか・後悔するのかは、転職先の仕事内容や環境によるものが大きいです。
そのため、転職先が自分に合うか合わないかを判断するためには、当然、転職先の情報を詳しく知らなければなりません。
例えば、公務員から転職したい理由が「やりがいのある仕事がしたい」である場合は、転職先の仕事内容が分かれば、自分にとってやりがいを感じられる内容かどうかはたいてい判断できます。
また、転職先の企業理念をチェックすることも、自分が仕事で大切にしたいポリシーと合うかどうかの判断材料になります。
「残業を減らしたい」が理由の方は、企業で働く”先輩の声”などで、一日のスケジュールや休日の過ごし方が紹介されている場合があるので、チェックしてみましょう。
逃げ道を作っておく
正直、公務員からの転職を後悔するかしないかは、実際に転職してみないと分からない部分もあります。
そのため、万が一上手くいかなかった場合の逃げ道を作っておくと、メンタル的なストレスが軽減できます。
例えば、転職先で仕事内容が合わなければ、また別の仕事を探すor元の職種に戻るなどです。
また、転職先でも人間関係が合わない場合には、また別の仕事を探すor人との関わりが少ない仕事を探すなどの方法も考えられます。
特に、毎日忙しい中で転職活動も並行するとなると、疲れもたまります。
心身ともに自分の体調も気にかけながら、転職活動を進めてくださいね。
自分の強みや適性が転職先に合っているか自己分析する
公務員からの転職を考えている方は、「公務員の仕事に向いていないかも?」「他にもっと自分に合っている仕事がありそう」など、何となくこのまま公務員を続けることや、将来に不安を感じている方も多いのではないでしょうか?
実際に元公務員の私も、何となく将来を考えることが増え、結局転職に至っています。
せっかく転職するなら、自分にとって最適な仕事・職場に転職したいですよね。
そんな時には、そもそも自分にはどんな仕事が合っているのか?など、改めて自分の適性や強みを分析してみるのが有効です。
自分の特性を踏まえて転職先を検討すれば、転職後に後悔するポイントを軽減できます。
自己分析では、自分に合う転職先を選択するヒントになる、以下のようなポイントを整理することができます。
- 「自分にはどんな特性があるのか、その特性が仕事でどんな力を発揮できるのか」
- 「自分には仕事上でどんな長所・短所があるのか」
- 「自分が職場・仕事で求めるのはどんなことか」
実際、私は転職先の候補(司書)はある程度決まっていましたが、本当にその仕事でやっていけるのか?と不安でした。
そこで、転職サイトの自己分析ツール(無料)を活用したところ、自分の強みの中で司書として活かせそうな部分・自分の短所で司書として改善した方が良い部分が明らかになりました。
また、自分が仕事をする中で大切にしていることも見えてくるため、転職の目的が明確になっていないときにも参考になりますよ。
この機会に、自分の仕事上の得意・不得意や仕事に求めるものを確認して、自分に最適な転職先探しに役立ててみてくださいね。
おわりに
公務員からの転職を決めるときは、不安なことがたくさんありますよね。
もしかしたら、家族から止められてさらに迷っている方もいらっしゃるかもしれません。
公務員からの転職を後悔しないためには、転職のメリット・デメリットを含めてとにかく考え尽くすことです。
たとえ転職後に上手くいかないことがあっても、あなたが考えに考えた上で決断したことなら、"後悔"にはならないはずです。
また、色々と悩む中で、「やっぱり転職しない」という決断ができるのもまた素晴らしいことだと思います。
転職される方も、現職に留まる決意をされる方も、ご自身にとって後悔のない選択ができるよう応援しています!
最後までご覧いただき、ありがとうございました。