おがさわら丸の電波事情|電波が通じない理由・困ること・拾うコツ

東京・竹芝桟橋と父島・二見港を結ぶ定期船「おがさわら丸」は、片道約1,000km・24時間にも及ぶ長時間の航海です。
航行中は電波が届かない時間帯が多く、ネット環境を事前に確認しておくことが、船旅の快適さを大きく左右します。
この記事では、実際におがさわら丸で小笠原諸島を旅した筆者が、船内で電波が通じるタイミングからネットが使えないときの過ごし方まで徹底レポートします。
船内Wi-Fiの利用方法や緊急時の連絡手段など、おがさわら丸での電波事情について気になるポイントも紹介するので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
参照:小笠原村「概要」
おがさわら丸で電波が通じない理由:外洋を進む24時間の航路

おがさわら丸の船内で電波が入らない時間帯が長いのは、陸地から遠く離れた外洋を航行するためです。
携帯電話の電波は全国各地にある基地局から発信されており、陸地から距離のある海上では、その電波が届く範囲を外れてしまいます。
房総半島と三浦半島に囲まれた東京湾や、途中通過する伊豆諸島の有人島付近、父島・二見港からしばらくの海域以外は、基本的に電波が通じません。
おがさわら丸での片道約1,000km・24時間の船旅では、これらの海域を除くほとんどの時間帯で「圏外」となるのが実情です。
おがさわら丸でネットが使えなくて困ること:実際はどれくらい不便?

おがさわら丸でネットが使えず困る場面は、連絡手段・決済手続き・情報収集など、おもに以下のようなケースです。
ただし、動画やマップは電波が通じるうちにオフライン保存しておくなど、事前に備えておけば大きな不便はありません。
なお、船内ではクレジットカード決済は利用できず、現金が基本ですが、レストラン・展望ラウンジ・売店では交通系ICカードでも支払えます。
私は、迎えに来てくれる人へ現在地を連絡できなかったこと(到着時刻が前後する可能性があるため)以外は、ネットがなくてもそこまで困ることはありませんでした。
緊急で連絡を取りたいときや船内でネットを利用したい場合は、後述する船内Wi-Fiや衛星電話などの有料サービスも利用できます。
船内で少しでも電波を拾いやすくするコツ|階段付近など廊下に移動する

おがさわら丸では、電波が通じるエリアでも、船室やレストランなど電波が入りにくい場所があります。
実際、私は竹芝発便に乗船後、出港前に船室でスマートフォンを確認してみるとネットへの接続が非常に重たく、次のページを読み込めませんでした。
電波は金属製の壁などの影響で届きにくくなるため、基地局からの電波を拾うには、外部デッキはもちろん、船内の窓際や階段付近の廊下に出て操作するのがコツです。
私が復路で伊豆諸島付近を航行中に電波を拾えた際も、6デッキの階段付近へ移動し、外部デッキにつながる扉の前でスマートフォンを操作しました。
おがさわら丸で電波が通じるタイミング|往復それぞれの具体的な時間

おがさわら丸で電波がつながりやすい時間帯は、4デッキ「船内案内所」や外部デッキへの出入口付近に掲示された「通過予定時刻」を見ると分かりやすいです。
24時間の航海のほとんどは陸から離れた外洋を進むため、基地局からの電波を拾えるタイミングは限られます。
ここでは、「通過予定時刻」をもとに、往路と復路それぞれで電波が通じやすいポイントを詳しく解説していきます。
往路(竹芝→父島):東京湾~伊豆大島・三宅島・八丈島・嫁島~父島

往路で電波がつながりやすいポイントは、竹芝出港後2~3時間程度の東京湾内と、途中で通過する伊豆諸島の各有人島付近、到着約1時間前の嫁島付近~二見港までです。
ただし、電波が安定して入るのは、東京湾を出るまでの約2~3時間と伊豆大島周辺、二見港到着前の約30分のみ。
それ以外は、電波がつながったとしても不安定なことが少なくありません。
大事なメールの返信や電話連絡、動画のダウンロードなどは、東京湾内を航行中に済ませておくのがおすすめです。
復路(父島→竹芝):父島~嫁島・八丈島・三宅島・伊豆大島~東京湾

復路でも、電波がつながりやすいポイントは往路とあまり変わりません。
父島・二見港を出発すると、約30分で電波が途切れはじめ、それ以降は翌朝7:15頃に八丈島を通過するまで圏外の状態が続きます。
八丈島・三宅島・伊豆大島付近を通過する際には、往路と同様に一時的につながることも。
到着の約2~3時間前から徐々に電波が安定していくため、下船後の乗り換え案内検索や、たまっていた連絡の返信などにも対応しやすくなります。
復路も往路と同じく、二見港出港後から約30分と竹芝到着前約2~3時間に、必要な連絡や情報収集を済ませるのがおすすめです。
以上の時間帯はあくまでも目安です。実際、私が乗船した往路便は台風の影響で30分遅れの11:30に到着したため、電波が入りやすいタイミングも少しずつズレました。
【実体験レポート】各ポイントで本当につながった?リアルな通信状況

おがさわら丸で実際に電波状況を確認してみると、思ったよりも電波を拾うのに苦労しました。
というのも、電波がつながるタイミングはほぼ情報通りですが、海況が荒れていると電波どころではない状況になることも…
ここでは、先ほど解説した「電波が通じるタイミング」で実際につながったのか、当日の海況も含めたリアルな通信事情を実体験をもとに紹介します。
往路(竹芝→父島):東京湾内・父島到着前(揺れで通信確認が困難)

往路では、11:00に竹芝桟橋を出港してからレストランで昼食を終えた12:30頃までは、スマホの電波が比較的安定して入り、父島のバス時刻表の検索なども問題なくできました。
東京湾を出る14:00頃までは電波がつながっていたはずですが、その頃にはすでに台風の影響で揺れが大きく、船室にいたので実際には確認できませんでした。
その後、伊豆大島・三宅島・八丈島に差し掛かる頃には、揺れは強まるばかり。
結局、船酔い対策のため翌朝8:00頃に起床するまで、船室でオフライン動画視聴や読書で大人しく過ごしたので、そもそも電波を使うタイミングがありませんでした。
通過予定時刻では10:00過ぎから通信できる時間帯でしたが、9:30頃から1時間ほどはデッキで島の解説に夢中だったため、スマホを確認する機会がほとんどありませんでした。
もちろん、父島・二見港到着後は電波もサクサク通じます。
「結局ほとんど電波を使っていないじゃん…」と思われるかもしれませんが、揺れが大きい日は、こんな状況になることもあるのが実情です。
復路(父島→竹芝):父島出港後すぐ・伊豆大島・東京湾内

15:00の父島・二見港出港時、盛大な別れのお見送りに感動していると、気付けば二見湾を出ていて、電波は早くも途切れ途切れに。
夕方はデッキから景色を眺め、夜は動画視聴や思い出写真を振り返るなど、電波がなくてものんびりとした時間を楽しめました。
翌11:10前後、伊豆大島をうっすらと遠くに眺められるタイミングで、6デッキの島側の階段付近で一時的に電波が入り、不安定ながらネット接続を確認。
その後は再び不通になりましたが、東京湾内に入るとつながるようになり、徐々に安定して接続できるようになったため、滞っていた連絡をまとめて返せました。
おがさわら丸は船内にWi-Fiある?圏外でもネットを使う方法

電波が通じないと言われても、家族や仕事関係の連絡など、「こまめに連絡を取れないと困る…」という方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方は、おがさわら丸の船内Wi-Fiサービスを利用するのもひとつの方法です。
以下では、船内Wi-Fiサービスの概要や利用方法に加え、実際に乗船して感じたことも交えながら紹介します。
2025年6月~船内Wi-Fi「Starlink」が有料で利用可能に!

おがさわら丸では、2025年6月から有料の船内Wi-Fi「Starlink(スターリンク)」が導入され、モバイル回線がつながらない海域でもインターネットに接続できるようになりました。
それまでは外洋に出るとほぼインターネットは使えませんでしたが、低軌道衛星を用いた通信技術により、現在は24時間いつでも利用できる環境が整っています。
船内でも家族や職場との連絡手段を確保できる一方で、利用には料金がかかるほか、支払い手続きなど事前に確認しておきたいポイントもあります。
参照:小笠原海運株式会社「【お知らせ】おがさわら丸船内におけるStarlink(Wi-Fi)提供の有料サービスについて」
船内Wi-Fi「Starlink」の利用方法:利用の流れ・料金・注意点

船内Wi-Fi「Starlink(スターリンク)」の利用料金は、片道24時間の航海で4,000円です。
利用する際の手順は、Wi-Fi設定で「OGM-Guest」に接続し、QRコードから「qr24.jp」にアクセスして申し込みます。
規約に同意したうえで必要情報を入力し、チケットを選んで決済へ進む流れです。
支払い方法はオンライン決済のみで、クレジットカード・PayPay・d払いなど複数から選べます。
「Starlink」の決済は、ワンタイムパスワードを「SMS(電話回線)」で受信する設定にしていると圏外で手続きできない可能性があるため、電波があるうちに済ませると安心です。
万が一出港後に決済する場合は、ワンタイムパスワードを「SMS(電話回線)」ではなく、「Eメール(ネット回線)」で受信する設定に変更しておきましょう。
「Starlink」の利用方法は船内各所に掲示されているので、利用する方は内容をよく確認しながら申込み手続きを進めてくださいね。
船内でWi-Fiは利用した?使わなかった理由も紹介

結論から言うと、私がおがさわら丸に乗船した際は、往復ともに船内Wi-Fi「Starlink」を使うことはありませんでした。
乗船前は「長時間ネットにつながらないと困るかな?」と思い、往復どちらかでは利用するつもりでいたのですが、実際は意外とネットがなくても困らなかったのです。
船内を探検したり、外部デッキで海の景色を眺めたり、船室でのんびり過ごしたり――
おがさわら丸では、インターネットがなくても楽しめる環境が整っており、普段なかなか味わえない「デジタルデトックス」を満喫できるまたとない機会です。
家族や仕事関係で大事な連絡が必要な方以外は、たまにはネットから離れて静かな時間を過ごしてみるのも良いですよ。
おがさわら丸で電波が通じないときの過ごし方|景色・読書・映画鑑賞

おがさわら丸で電波がつながらない時間は、船旅ならではの楽しみに集中できる貴重なひとときです。
24時間の航海のうち大半はネットの世界から離れることになりますが、その分デッキからの景色や船内イベントなど、日常にはない体験に自然と目が向きます。
ここからは実体験をもとに、電波が届かない時間だからこそ楽しみたい過ごし方を5つに厳選して紹介していきます。
デッキで船上ならではの景色を楽しむ:ビル群・青い海・島々・星空

電波が入らない時間こそ、外部デッキに出て船上ならではの景色を楽しむ絶好の機会です。
往路では、出港直後に都心のビル群が遠ざかっていく様子を海上から眺められ、外洋に出ると視界いっぱいに青い海が広がり、伊豆諸島・小笠原諸島の島々が姿を現します。
復路では、島民による温かい別れのセレモニーに浸りつつ、小笠原諸島の島影が消えていくボニンブルーの海を堪能できます。
天気や海況が良い日の夜は、街の明かりが届かない海の上で、星空観賞を楽しめることも大きな魅力です。
スマートフォンを気にせず景色に集中できる貴重な時間には、ぜひ外部デッキに足を運んでみてください。
船内レクチャーに参加する:小笠原諸島の観光情報や聟島列島の解説

おがさわら丸の往路では、解説員による船内レクチャーや聟島列島(むこじまれっとう)通過時の解説などが行われ、電波が入らない時間の過ごし方としておすすめです。
出港日の昼食後に船内レストランで開催される船内レクチャーは、小笠原諸島の観光情報をわかりやすく解説してくれるため、初めての小笠原旅行に役立ちます。
また、翌朝に聟島列島が見えてくる頃には、目の前に広がる島々を眺めながら、島の名前や小笠原固有の動植物についての解説があり、これからはじまる島旅への期待が高まります。
船内レクチャーや島の解説の前には、船内放送で案内があるので、参加したい方は聞き逃さないようにしましょう。
のんびりお気に入りの本を読む:離島を舞台にした旅エッセイや小説

長時間の航海では、普段なかなか読み進められない本にじっくり向き合える時間にもなります。
電波が届かない分、SNSのチェックやメッセージの通知に気を取られることなく、読書に集中しやすいためです。
特に、離島や船旅を舞台にした旅エッセイや小説を選べば、目の前の景色と物語が重なり合い、臨場感たっぷりの旅気分を味わえます。
私のおすすめは、小笠原をフィールドに活躍する鳥類学者が綴る『そもそも島に進化あり』というエッセイで、島の成り立ちや固有種を学べる、旅前の予習にもぴったりの一冊です。
読書すると船酔いしやすくなる場合もあるため、海況や自分の体調に合わせて、無理なく楽しみましょう。
元司書の筆者がおすすめする島旅にぴったりの本は、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひ合わせてチェックしてみてください。
映画・動画鑑賞で物語の世界に没頭する:【オフライン保存必須!】

24時間の船旅では、時間を気にせず映画やSNS動画を見漁れるのも、贅沢な過ごし方と言えます。
ただし、電波の届かない時間に映画やSNS動画を見るなら、乗船前に見たい作品をスマートフォンやタブレットへオフライン保存しておかなければなりません。
外洋では基本的に圏外となるため、有料の船内Wi-Fiを利用しない限り、ネットを使った映画・動画の検索や視聴ができない可能性が高いためです。
私は普段オフライン再生を使うことがないため、小笠原旅行に合わせて動画配信サービスの無料体験を利用し、ダウンロード機能をフル活用しました。
ダウンロードなどの事前準備さえ万全にしておけば、24時間の船旅も物語の世界にどっぷり浸れる贅沢な時間に変わります。
海が荒れて揺れが激しいときは安静に:音で楽しめる過ごし方を

海が荒れて船の揺れが大きいときは、無理に動き回らず船室で安静に過ごすことを優先しましょう。
外洋を航行するおがさわら丸は、天候や波の状況によって激しく揺れることがあり、立ち上がったり歩き回ったりすると、船酔いしやすくなる場合があるためです。
揺れで身動きが取れない時間帯には、目を閉じて音楽やオーディオブックを聴くなど、身体への負担が少ない過ごし方を選んでみてください。
音声コンテンツもあらかじめダウンロードしておけば、ネットがつながらない環境でも、いつでも流せるので便利です。
おがさわら丸の電波事情についてよくある質問(FAQ)

外洋を進むおがさわら丸の船旅では、「長時間電波につながらない」という、日常ではあまりない経験に、乗船前は私も少し不安に思っていました。
「緊急で連絡が必要になったらどうしよう?」といった心配事も、あらかじめ対処法を知っておけば、旅行前の不安もぐっと軽くなるはずです。
ここでは、緊急時の連絡手段やキャリアごとの電波状況、島内での電波事情など、おがさわら丸の電波に関するよくある疑問を3つに厳選して解説します。
電波が通じない時間帯の緊急連絡手段はある?衛星電話とは?

おがさわら丸では、船内に設置された衛星公衆電話を使えば、電波がない海域でも24時間いつでも外部と連絡を取れます。
衛星電話とは、人工衛星を経由して通話する電話のことで、陸上にある基地局の電波が届かない外洋航行中でも利用できるしくみです。
おがさわら丸には、衛星公衆電話が2台設置されています。
利用時は100円硬貨のみ使えるため、緊急時に備えて財布に100円硬貨を多めに用意しておくと安心です(船内に両替機もあります)。
参照:小笠原海運株式会社「よくある質問」
携帯キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)で電波状況は変わる?

ドコモ・au・ソフトバンクのいずれを利用していても、おがさわら丸で電波が入るタイミングに大きな差はありません。
実際、各キャリアのサービスエリアマップを比較すると、東京湾内・伊豆諸島付近・父島到着前など電波が入りやすいエリアは、多少の違いはあるもののほぼ共通しています。
なお、船内の「通過予定時刻」に書かれている携帯の電波状況は「ドコモ回線の場合」とただし書きがあり、私が乗船時に利用していたのもドコモ回線の携帯電話です。
どのキャリアでも、東京湾内と父島付近以外は電波が不安定になるため、「海上ではほぼ電波がつながらない」と考えて準備しておくのが無難です。
参照:docomo「サービスエリアマップ」
参照:au「エリアマップ」
参照:Softbank「サービスエリアマップ」
小笠原諸島での電波状況は?父島・母島でもネットは使える?

小笠原諸島に上陸した後は、ドコモ・au・ソフトバンクいずれの携帯電話も、父島・母島それぞれの主要エリアでは困ることなく利用できます。
船内とは異なり、島では陸上の基地局から電波が拾えるため、特に父島の主な観光スポットでは本土と変わらずスマートフォンが使える環境です。
ただし、父島・母島ともに集落から離れた場所や山など自然の中を移動する際は、電波が届きにくくなるエリアもあります(母島は沖港周辺の集落以外ではほぼ不安定)。
山林のトレッキングや船上ツアーなどで集落を離れる予定がある方は、電波がつながるうちに必要な連絡や情報収集を済ませておくと安心です。
まとめ|おがさわら丸での電波事情に合った備えで快適な船旅を

おがさわら丸では、東京湾内と伊豆諸島の有人島付近、父島・二見港周辺以外は、ほとんど電波がつながりません。
片道約1,000km・24時間の外洋航路という特性上、電波が入る時間は限られますが、つながるタイミングといざという時の連絡手段を知っておけば、出港前の不安は減らせます。
船旅中もネット環境が必要な方は船内Wi-Fiを活用しつつ、そうでない方は電波が届かない時間の過ごし方を事前に考えて準備しておきましょう。
電波が届かない時間は、日常から離れて景色や読書を楽しめる贅沢なひとときでもあります。
出発前にできる準備を整えて、小笠原諸島までの船旅を心置きなく楽しんできてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※記事の内容は、乗船当時(2026年4月)または執筆時点の情報です。










